2008/06/05

『澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン』 (神奈川近代文学館) についての感想

先日生誕80周年記念で、横浜にある神奈川近代文学館に行ってきました。
澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン

 雨の日の夕方、閉館間際に行ったので、人はあまりいないかと思っていたけれど結構たくさんきてました。やはり人気なのですね。 時間がないとおもいつつ・・・じっくり見ていくと見甲斐のあるものばかりでした。
 知人友人の多い渋澤さんの世界は本当に広くて、これも読まねば・・・これも読みたい・・・ と、自分の読んだものの少なさに悲しくなるほどでした。 一年弱前に見た鎌倉文学館の澁澤展と展示してあるものは似ていて まぁどこかで読んだような・・・という感じでしたが、衝撃の出会いだった一年前を思い出し熱い気持ちになりました。
 しかし「ここちよいサロン」、となんだか澁澤龍彦のイメージとかけ離れたほんわかした副題のとおり、 いかに渋澤さんは交友関係が広かったか、あの素敵なお宅にどんな方が来て和んだのか、という澁澤龍彦自身の歴史をメインにするのではなく、その周りの世界を紹介したものが多かったので、 私の読むべき世界も広がった感じがして、非常に有意義な見学でした。
 とくにやはりフランス文学科の人間としては、どういう経路でサドに至ったか、が面白く ジャン・コクトーからアンドレ・ブルトンの『黒いユーモア選集』からサドに興味を持ったというのを知って、逆に私はじゃぁサドからアンドレ・ブルトン、そしてコクトーと、逆ルートだなと思いました。
 澁澤さんの使っていた辞書の分厚さ、ぼろぼろさに驚きました。私もあんな風になるまで勉強しなければいけないなぁと。
 そして何度見ても『眠り姫(?)』カバーイラストのショッキングピンクとグリーンにセンスの良さを感じるのでした。

そとでは薔薇がきれいに咲いていて、外人墓地も薄暗く、オカルトでゴシックな気分で帰れました。

少し忙しく行った日からだいぶたっているので少し記憶があいまいですが、このへんで。
生誕80周年ということで、もっとたくさんの本が文庫化されてほしいと願うばかりです。
読みたいけれど神田で探さねばならない・・・と思うと・・・うーん。

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