2008/04/21

『愛』についてのあいまいな感想。

いい言葉はあった。純粋で、フェミニストで、女性が理想とする男性の愛がそこには描かれていた。
古い世界の恋愛哲学であっても、伝わってくるものはたしかにあった。
けれど、結婚を神聖化し、夫が妻のそばにいることが最高に幸せであると繰り返し説く著者の意見に
私は少し戸惑った。
だって、19世紀に書かれた、愛の聖書であるこの本に、
夫は妻のそばにいるべきで、外で遊ぶべきでないと強く何度も書いてあるくせに、
今の世の中、日本の夫たちは堂々と風俗にいくではないか。
この2世紀、男はなにも変わらず、妻の嫉妬の苦しみも変わらない。
なんと成長のない人間・・・。
絶望感がこみ上げるし、無理のある理想主義に逆に冷めてしまう。
最後まではまだ読んでいない。読む意味があるのか、わからない。
だって、著者の見出した理想の夫婦像はいまだ実現されていないという事実を私は知っているから。

2008/04/09

『愛』 ジュール・ミシュレ より

"女を苦しめるのは男の横暴さよりはむしろその冷淡さであり、服従することにくらべれば、十分に服従する機会をえられないことの方がはるかに苦悩なのである。"

簡潔に、まっすぐ刃を向けるように、私たち女の心を描いていると思います。
しかし、現代において男女平等化の進んだ社会においては、これは女全般を映した表現とは言えないかもしれません。今の女性もこうだ、といわれると違和感があります。この50年ほどのあいだに劇的に変化したものは女の意識ではないでしょうか。

とりあえず、Mの女性は、この言葉がぴたりと当てはまるでしょう。
横暴さにも冷淡さにも痺れてしまうM女はいますがw

2008/04/08

『愛(L'amor)』  ジュール・ミシュレ(Jules Michelet)

何の下調べもなく、突発的に買った本。

フランス人が書いた、愛の本かぁ…小説かな、という感じで手に取ったのですが、帯に「愛の聖書の古典的名著」と書いてあったので、これはこれは…と思って買いました。しかも私は最近出た恋愛ハウツー本とかそういうのを毛嫌いする人間だし、あぁいった本の美のない文章には惹かれないのですが、この本は古いし、『フランス革命史』という有名な本を書いた著者の作だということで、何か学ぶことがあるだろうと信じています。しかし二つの作品のテーマの違いが気になりますがw
SMを学ぶにしろなんにしろ、基本は人間なわけで、そしてSM関係も恋愛の範疇なので、まずSMの前にまだまったくよくわからない愛についてもう少し知識が必要だと思うわけですね。恋愛経験だって、まだ20歳そこらですので、深い大人の愛など、知らないわけですし、せめて文章で知識を得てみようという次第でございます。

ただしこの本、なんとなく男に向けた女性探究の本みたいな…まぁ、それでもいっか。
そういう風に考えると、SMを含んだ文学をよりよく理解するために必要なことは、ただエロス文学を読みあさることではなくて、心理学にも目を向けなければいけないなぁと思っています。今は魅力的な小説が数多くあって心理学系まで手を伸ばす暇がないけれども、ある程度満足するまで読み終わったら次は心理学、と決めております。

これも感想は読んだ後。

『女の一生(Une Vie)』 モーパッサン(Guy de Maupassant) 

 最近自分をコントロール出来てないので、自分を理解せねば、というか女っていう生物について理解せねば…と思って買いました。不幸な女の話に、女に生まれたことに悲しくなってしまうかもしれませんが・・・。
 学部に受かったときに読んだ「脂肪の塊」は衝撃的におもしろくて、フランス文学ってストーリー自体はものすごく単純だけど、心理描写がめちゃくちゃうまいなぁと、新鮮な想いをしました。
過去に感じたことがあるような感情をうまく描き切っていて、そういうのって人間観察がものすごくうまくないとできないことだと思うから、モーパッサンってすごいなぁ。文学ってこういうのかぁと、それまでろくに本も読んだことがなかった私はカルチャーショックを感じたのです。
。。。というかそんな私がフランス文学科に入ったことが自分では今でも不思議ですが。
 これも期待して読みます。モーパッサンって後年精神を病んだそうで、人間を知りすぎると気を病むのでしょうか…。怖い。

『黒いユーモア選集 1』 アンドレ・ブルトン

元々この本のタイトルからして好みな感じがしていたけれども
値段が高かったこともあって躊躇していたのが、
最近読んでいる(メモを取りながらでゆっくり読んでいる)『悪魔のいる文学史』に
アンドレ・ブルトンが発掘した1830年代の小ロマン主義者についての細かな説明があり、
厭世主義や自殺偏愛の作家の憂鬱な芸術性についての魅力に興味をもち、
ペトリュス・ボレルなどのそういった作家の作品がこれに収録されているとも知って、
吹っ切れて、本日1だけ購入。

1830年代のフランスの小ロマン主義とシュルレアリストの関係も結構面白いなぁと思う。
それにはフランスの政治情勢や民衆の思想もかかわってきて、なかなか難しいテーマだけど、
読んでいこうとおもう。
エロくはないでしょう。
でもサドを発掘したアンドレ・ブルトンのことですから、私の好みに合う作品を集めてると信じてます。

感想は読んだ後に。


『死者の奢り・飼育』 大江健三郎

私の趣向のすべてを知る友人から貸していただいたBL漫画に載っていたので興味を持った、
日本の被虐精神を描いた文学、らしい。
大江健三郎はエロス、だと渋澤龍彦は(たしか)書いていたので、期待を持って読みます。
久しぶりの日本文学。
ノーベル文学賞受賞作家なのですね。知りませんでした。
全然知識不足なので、もっとオールジャンルいろいろ読まなければと思います。

感想などは後日読み終わったときに。

2008/04/06

4月5日 「悪魔のいる文学史」渋澤龍彦 

・ペトリュス・ボレル 
 「狂想曲(ラプソディ)」
 『ピュティファル夫人』
 伝記ジュール・クラレティ
 批評ジュール・ジャナン 
 賛辞アンドレ・ブルトン
 1830年代にサド賞賛
 彼なくしては、ロマン主義に一つの欠陥が生じる(ボードレール)
 自殺偏愛 厭世主義 
 ヴァルモール、モローの死生観とボレル、ラッブのそれ
・ゴーティエ 
 「ロマン主義の歴史」『アルベルテュス』
・アルベール・ティボーデ 
 フランス文学史
・マリオ・プラーツ教授 
 「ロマン主義的苦悶」
・狂詩人(ブラックユーモア)ラッブ、ボレル、フォルヌレ、ランボー、ロートレアモンと感傷詩人ヴァルモール、モロー、デシャン兄弟、ギュタンゲールの死の考えの差

・ピエール・フランソワ・ラスネール
 フローベール賞賛
 ブルトン『黒いユーモア選集』
 『回想録』
 『有罪判決後のラスネール』
・カミュ『反抗的人間』
 ロマン主義の遺産は、フランスの貴族ユゴーによってではなく、犯罪の詩人であるボードレールとラスネールによって管理された 
・コリン・ウィルソン『殺人百科』『殺人の哲学』

2008/04/03

はじめまして。

フランス文学科2年生です。
このブログは主にフランス エロチシズム文学を研究し、
見たもの、読んだものの感想やデータを残して置くためのブログです。

思えば去年の春、某都心大学のフランス文学科に、私は特に目標もなく入ったわけですが
入学後すぐに、今思えば偶然というよりも運命と思えて仕方ない、澁澤龍彦との出会いがありました。
ちょうど澁澤氏の没後20年の企画で鎌倉で展覧会が行われており、
そこにまったく偶然、サークルの遠足で足を運んだのがきっかけで氏を知ることになりました。
時間つぶしの入館だったのですが、なにやらサドだのエロだのの言葉がずらずらと並ぶ館内に
妖しいゴシックな空気が流れていました。
サドというのが作家で、本をだし、フランス人だということも、そのとき知ったのですが、
私はマゾヒストとして生きている人間ですので、あぁいった雰囲気は大好きでした。
血が上ってくるような感覚、何か運命を感じたようでした。
私は一気に魅了され、それからフランス エロチシズム文学を研究すると決めたのです。