2008/06/24

『黒魔術の手帖』 澁澤龍彦

 昔、よく小学生の時に黒魔術とかの本を意味もわからずに読めたなぁと今更ながら自分に感心する。サバト、黒ミサ、タロット、懐かしい・・・という感じ。
 澁澤さんの本はいつもとてもきれいな文章なんだけれど、この本は難しい。いや、必要なものを理解するには必要な知識を書いているのだろうけど、読解困難。中世なんかの観念を言葉で表すというのは大変なことなのだろう。むしろ私が小学生のときのように、なんとなく抽象的に覚えて理解するのが一番なのかもしれない。タロットの意味なんかは特に言葉にするとあまり意味が定まらず、いちいち覚えていくよりかはカードとカードの隣合いなんかで影響しあうところを読み取るほうがしっくりくるし、絵柄をじぃっと眺めて見出すイメージのほうが、本を調べて出てくる意味よりもメッセージ性のあるものになるだろう。
 いつも澁澤さんのエッセイ集には澁澤さんなりの解説とか、澁澤さんの感想とか、独特のビジョンが組み込まれていて、ついつい影響されてしまう。そしてそのコメントが毎回とてもやわらかな感じで、一生懸命難解な講義を終えたあとの、ご褒美的な雑談を聞いているようで、面白い。
 しかし内容の詳しさは、もしかしたらだいぶ前の本なので、ほかにオカルト書的に出された専門書のほうがはるかに細かく書かれているかもしれない。とくに黒ミサやサバトなんかはもっと詳細なものを読んだ記憶がある。オカルト好きな人は新しい知識、というよりは、澁澤さんの見解を垣間見る、という気持ちで読むべきだろう。

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