2008/06/09

『私の奴隷になりなさい』『ご主人様と呼ばせてください』 サタミシュウ

 書店に、首輪着けた女の子の写真が表紙の本があったら、私みたいなドMでなくてもドキッとすることだろうと思います。ぺらりとめくった印象は「低俗感あふれる・・・携帯小説みたい。」でしたが、興味本位で購入。読まなければつまらないということもできないのですものね。
 さて、厚さと関係なく、内容の軽さゆえに2時間もあれば読み終わります。そして約30分くらいでどんな話か察しがつきます。あぁあぁ・・・まぁSM系出会いサイトで行われてることをまぁたいそうすごいことのように書いて・・・。この作家さん、結局何が描きたかったんでしょう。人間の性欲に対する感情を書きたかったならもちろん表現不足だし、客観的すぎるというか、肉体的な性欲の部分ばかり描きすぎていて、本自体の存在が一般文庫とエロ小説の間にあるくせに、セックスの描写も生ぬるいし(せめてもっと激しくプレイするならこれくらいの客観的表現のほうが興奮するかもしれないが、やってることの内容も大してハードでないのに、ぬめるような表現も少ないんじゃ燃えません。)小説として話はまったく退屈なストレートだし、さらに心情表現は稚拙そのもののように思えます。
 そもそも場面の切り替えや、構造は凝ってるのですが、なんだか人物設定そのものがあやふやというか、人間味を帯びるまでにきちんと表現されていないのに、セリフや行動ばかりでどんどん話が先に進んでいってしまうので、読んでいる側が内容に没頭できず、なんだか変にきもちわるい。これだったらネット探してくるSM小説のほうが全然面白いと思います。(ちなみに私は中学生のとき凡田英二さんのネットsm小説にはまっていました。)
 もしもこれが売れていて、これに魅力を感じる人が多いとしたら、嘆かわしい・・・と思いました。ケータイ小説のひどくつまらない日常感あふれるセリフに感動する人がいることも私はなんとなく日本の文化レベルの下落を感じます。かといって自分がじゃぁきちんとした文学レベルを持っているのか言えばけしてそうではありませんが。

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